品質の本質を理解しよう。ものづくり日本企業の凋落に終止符を打つ、対策と行動とは?

Quality002 品質を学ぶ
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筆者は、モノづくり企業において、品質のお仕事を20年以上やってきました。

印象として、品質担当の人って、まじめな人が多いですね。

真面目な人の特徴として、

決められた事は実直に実行するのですが、

・そもそも、なぜ、これをしているのか? とか、

・最終的な目的は何なのか?

という、行動の本質がわかっていない場合があるようです。

まず、素直に実践して、それから徐々に本質を理解する。

そんな部分も確かにあるので、それでも遅くないのですが、

「物事の本質を知って、自らが考えて、自らの行動を決める」

そんな癖をつけることは、とても大切なことです。

特に、これからの時代を生き抜く上ではね・・・

タイキの20年の経験に基づく、品質の本質を解説してゆきます。

品質と無関係な方も、きっと役立つと思います。

SQC、TQC、TQM、ISOの流れを理解しよう

日本の品質は、過去、安かろう悪かろうの時代がありました。

戦後、焼け野原の時代から、苦労して、日本のものづくりを真剣に考え、

大げさかもしれませんが、命がけで取り組んだ人たちがいました。

お陰で、日本の品質は世界一といわれるまでに成長し、

Japan As No.1 と日本品質は世界に認めれられました。

その歴史は、日本の代表企業のHPなどを見ると、勉強できます。

各社の考えや歴史は若干異なりますが、大筋はよく似ています。

つまり、日本全体が一丸となって、一つの目標(つまり、品質世界一)を目指して取り組んだ。

そんな時代があった。という事です。

2020の現在、日本品質は今も健在なのですが、かなり苦戦しています・・・

理由は、日本が歩んできた品質の考え方を、海外の各国が急速な勢いで取り入れたこと。

品質だけでなく、技術・装置も取り入れ、人件費の安い利点を最大限に生かした結果です。

その流れを、理解しておくことは、大切なことです。

本質を知ること=歴史を知ること

QC(Quality Control)という言葉は、1931年のシューハートの著書に初めて登場します。

シューハートは、ベル研究所の技師であり、品質管理の父といわれています。

戦争の後、

このシューハートに学んだデミング博士が来日、

日本に品質の考え方を弘めました。

初期の品質の考え方は、統計学に偏重している傾向があり、 統計的品質管理「SQC:Statistical Quality Control」と呼ばれました。

しかし。ほぼゼロだった日本に、このデミング博士の教えは、非常にインパクトがあり、インスパイヤーがあり、絶大なリスペクトがありました。

各企業が競うように、デミング博士の教えを取り入れ、独自に発展させてゆきました。

独自の発展とは、

統計的アプローチだけでは解決できない問題があったり、

品質・製造部門以外も巻き込んだ全社的な活動でなければ解決できない問題など、

実用面において様々な改善の必要性が生じたからです。

各企業がこぞって、その改善手法を創出してゆきました。

その改善手法の事例は、デミング賞として表彰され、公開されたことで、日本企業全体の品質を向上させることに繋がりました。

そして、

組織の垣根を外し全員参加する「QCサークル活動」や、

サービス部門・管理部門にまで活動範囲を広げた全社的活動「TQC」

その「TQC」が発展した「TQM」に集約され、発展してゆきました。

この成果により、日本は世界一の品質といわれるに至りました。

アメリカのベル研究所に始まった「品質の考え方」が、日本において独自の進化・発展を遂げ、

「日本にできて、なぜ、アメリカにできないのか?」という1980年のアメリカのドキュメンタリー放送をきっかけに、

アメリカに逆輸入され、1990年代のアメリカの品質向上に役立ったとされています。

これが、日本の品質の歴史です。

次に、少し内容を見てゆきましょう。

SQCとは

SQC(Statistical Quality Control:統計的品質管理)とは、

QC七つ道具

実験計画法

回帰分析

多変量解析、などの統計的方法や

抜取検査、

サンプリング、などを使った品質管理のことです。

戦後の日本製造業を強くしたのは、デミング博士がこれらを持ち込み、教育指導したためです。

経験や勘に頼るのではなく、事実とデータに基づいた管理を重視する点が特徴です。

TQCとは

TQCとはTotal Quality Controlの略で、

「製品の品質を管理するためには、製造部門だけなく、営業・設計・技術・製造・資材・財務・人事など全部門にわたり、さらに経営者を始め管理職や担当者までの全員が、密接な連携のもとに品質管理を効果的に実施していく」活動のことです。

SQCの手法を、全社的に発展させた考え方です。

TQMとは

TQCが名前が変わって、TQM(Total Quality Management) になりました(1996年)

ですから、ほぼ内容は同じです。

TQMは、製造業以外の業種にも活用できることや、トップダウンの考え方があるといわれていますが、個人的には内容に大差はないと思います。

まとめると、

SQC (Statistical Quality Control:統計的品質管理)

TQC (Total Quality Control:全社的品質管理)

TQM(Total Quality Management:総合的品質管理)

となります。

難しそうなのですが、

手法としては、QC7つ道具が基本と考えてください。

その後、実験計画法や、多変量解析、

田口メソッド、マハラノビスの距離、TRIZ・・・などの手法も、勉強すべきです。

手法といわれるものはたくさんありますので。

でもね、

結局のところ、使えなかったら意味はありません。

SQC、TQC、TQMの根本の考え方は、帰納法の考え方

帰納法という難しい単語をだしましたが、

考え方のことです。

逆は、 演繹法といわれています。

演繹法の例:

「3角形の内角の和は180度」+「Aは60度、Bは90度」⇒「だから、Cは30度」

は正しいのですが、

「〇〇市場は将来が有望」+「製品Aは〇〇市場向けの製品」⇒「だから製品Aは売れる」

は正しいとは限りません。

一方、帰納法は、

「1日目、太陽は東から上った」「2日目、太陽も東から上った」「3日目、太陽は・・・」⇒「どうやら太陽は東から上るらしい」

「製品Aについて市場調査を行ったところ、大変良い評価を受けた」⇒「新製品Aは売れる」

という、考え方のことです。

つまり、帰納法は、なんらかのデータを取って、その結果に基づいて、未来を予想します。

だから、必ず、データがある訳です。

手法は、このデータをどのように解析するのか?、データをどのように取るのか?ということを教えています。

SQC、TQC、TQMの根本の考え方は、この帰納法の考え方によるもので、必ずデータをもとに未来を予測するというものなのです。

ISOとは

ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)は、電気分野を除く工業分野の国際規格を策定するための組織であり、この国際標準化機構が制定した国際規格自体もISOと呼ばれています。

要するに、規格です。

その適用範囲や内容、基準(要求事項)が明確になっており、審査機関の審査によって認証が行われます。日本では、品質保証の取り組みを通して顧客満足や品質マネジメントシステムの継続的改善を進めるISO9001が特に有名です。

一方、

TQM(Total Quality Management:総合的品質管理)は、もともとはQC(Quality Control:品質管理)から発展してきたので、「この基準を満たしたらTQMを実施している」という一律的な基準はありません。

これらのどちらが優れているという議論は不毛なのですが、

わかりやすく説明すると、

買い手の立場では、ISO認証があれば「合格点以上なので」安心。となり、

作りての立場としては、TQMで自社の品質を継続的に高め、競争に勝つ製品を作る。

という風で、

ISOは合格している必要がありますが、合格点以上であれば、合格となりますので、

優秀な人はそれで満足せず、さらに高得点を目指すのですが、

合格であればOKと考えて、そこで改善活動が停止する可能性があります。

一方、TQMは、合格点クリアを目標においておらず、際限なく企業にとっての利益を目指す活動となり、言い換えれば、合格点でなく満点を目指す活動です。

ISO取得(合格)で経営はよくなるのか?

日本企業の多くは、ISO認証を取得していますが、

どうも、ISO認証合格で満足している場合があるように思えます。

合格したら、一旦は、満足しますよね。

でも、その企業が競争に勝って、利益を上げ、生き残るか?は、

別の問題のようなのです。

一応、ISOは、取得すれば、経営に良い影響があるとされています。

だから、多くの企業が導入した訳です。ISO認証がないと、取引できないという側面もありましたが。

でも、近年、一旦ISOの取得をしながらも、継続しない企業が多くなっています。

簡単に言えば、経営に効果がない。と判断されたから。

2015年にISOもそれを意識した改良をしましたが、あまり状況は変わっていないように思います。

結局のところ、経営者がどう判断するか?ですよね。

2020年の現状は、大変厳しいもので、

よい品質を作り上げた=売れる

ではなくなっています。

よい品質は当たり前、コストはそうですか?サービスはどうですか?納期はどうですか?

品質以外の要素も、選考の対象になって来ています。

苦戦している要因は、その中でもやはり、コストでしょう。

では、これからの時代は、どうすればいいのでしょうか?

これからの時代を生き抜く方法

ここから先は、個人の考えになります。

当然ですよね。確実な答えがある訳ではありませんので。

タイキの考えは以下です。

第一段階

ISOだけで満足している品質の考え方は捨て去り、TQMの原点に返って、真のものづくりを追求すること。

これを本気にやれば、だいぶ良くなるはずです。

第2段階

TQMで重要なデータの重要性(帰納法の基本)を拡張させる

ビッグデータの活用など

第3段階

一義的な手法で解決できない事例は山ほどあることを念頭に、個々のケース、環境の違い、タイミングの違いによって、最適な回答を見つけることが大切であることを学ぶ

AIなど

第4段階

ものづくりという土台そのものが、完全に自動化され、人間の労働力が関与しない時代へ移行することを意識しなければならない。

Iot、自動化

第5段階

会社組織という考え方に縛られない、個人と会社の新しい関係がポイントとなる時代を見据えて、

個の能力を高めること。または、能力を持った人材を必要な時に、必要な分だけ集めるという考え方で、会社運営をしてゆく時代に備えるべき。

人材クラウド化

あくまでも、個人の考え方です。

ご批判はご容赦ください。

最後に

いかがだったでしょうか?

「物事の本質を知って、自らが考えて、自らの行動を決める」

という、一見当たり前のことですが、

なかなか出来ていないと思います。

低迷する企業運営にお悩みの方は、

是非、一度、真摯に向き合ってみてほしいと思います。

それをせずして、

安易にAIだの、Iotだの、新しいものを取り入れたら乗り切れるなどと考えたら、

確実に失敗すると思います。

これからも、よろしくお願いします。

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ではでは。

タイキ

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