今回は、TRIZについてお話しますね。
聞いたことないけど、TRIZって何?
わかりやすく解説しますね。
TRIZとは
1997 年 TRIZ は日本で「超発明術」として紹介されました。
当時、新発明を生み出す「魔法の杖」のように勘違いされ、注目を集めたが、実際は使い物にならないよ。という誤った解釈をされてしまった悲しい歴史があります。
しかし、TRIZは決して使えないものではなく、多くのヒントを与えてくれるもので、新しいものを生み出す作業をするときは、大いに活用すべき手法です。
TRIZは、トゥリーズと読みます。ロシア語の頭文字をとったもので、英語では、Theory of Inventive Problem Solvingという意味で、別名TIPS「ティップス」ということもあります。
TRIZは、旧ソ連海軍の特許審査官であったゲンリッヒ・アルトシュラー(Genrikh Altshuller:1926~1998)が様々な特許を調べるうちに一連の法則を発見し、これらの法則を技術問題の解決に役立てようと、実践的な方法論としてその基礎を築いた理論です。彼とその同僚たちが当初約40万件、のちに20数年間費やして250万件ともいわれる膨大な特許をもとに、体系的で、構造化された思考方法の理論を構築したものです。
http://www.triz-japan.org/about_TRIZ.html
つまり、すでに発明された特許を分析して、どんな思考でその発明に至ったのか?という思考方法を体系化して、有名な40の発明原理にまとめたのです。
40の発明原理
40の発明原理は、以下の通りです。
- Segmentation (分けよ)
- Taking out (離せ)
- Local quality (一部を変えよ)
- Asymmetry (バランスを崩させよ)
- Merging (2つを併せよ)
- Universality (ほかにも使えるようにせよ)
- “Nested Doll” (内部に入り込ませよ)
- Anti-Weight (バランスを作り出せ)
- Preliminary Anti-Action (反動を先につけよ)
- Preliminary Action (予測し仕掛けておけ)
- Beforehand Cushioning (重要なところに保護を施せ)
- Equipotentiality (同じ高さを利用せよ)
- ‘The Other Way Round’ (逆にせよ)
- Spheroidality – Curvature (回転の動きを作り出せ)
- Dynamics (環境に合わせて変えられるようにせよ)
- Partial or Excessive Actions (大ざっぱに解決せよ、一部だけ解決せよ)
- Another Dimension (活用している方向の垂直方向を利用せよ)
- Mechanical vibration (振動を加えよ)
- Periodic Action (繰り返しを取り入れよ)
- Continuity of Useful Action (よい状況を続けさせよ)
- Skipping (短時間で終えよ)
- “Blessing in Disguise” or “Turn Lemons into Lemonade” (よくない状況から何かを引き出し利用せよ)
- Feedback (状況を入り口に知らしめよ)
- ‘Intermediary’ (接するところに強いものを使え)
- Self-service (自ら行うように仕向けよ)
- Copying (同じものを作れ)
- Cheap Short-Living Objects (すぐダメになるものを大量に使え)
- Mechanics Substitution (触らずに動かせ)
- Pneumatics and Hydraulics (水と空気の圧を利用せよ)
- Flexible Shells and Thin Films (望む形にできる強い覆いを使え)
- Porous Materials (吸いつく素材を加えよ)
- Color Changes (色を変えよ)
- Homogeneity (質を合わせよ)
- Discarding and Recovering (出なくさせるか、出たものを戻させよ)
- Parameter Changes (温度や柔軟性を変えよ)
- Phase Transitions (固体を気体・液体に変えよ)
- Thermal Expansion (熱で膨らませよ)
- Strong Oxidants (「そこを満たしているもの」のずっと濃いものを使え)
- Inert Atmosphere (反応の起きにくいものでそこを満たせ)
- Composite Structures (組み合わせたものを使え)
少し、難しくなってきたかもしれませんが、確かにTRIZを完全に理解し、使いこなすのは難しいと言われています。
USITの登場
Ford社のDr.Sickafusが更に企業内技術者むけに利用し易い形に改良を加えて「USIT (Unified Structured Inventive Thinking)」として確立。TRIZの現代化(Contemporary TRIZ)の中で、USITは”TRIZを系統化”して、迅速・容易に実地適用できるようにしたもの。
http://www.triz-usit.com/introduction-to-usit.html
ということで、TRIZをもっと取り扱いやすくく、実用的に使えるように進化させたUSITが登場します。
詳しくは、上の本に図解で説明されています。図解で分かりやすく書かれていますので、タイキも容易に理解ができました。
言葉足らずかもしれませんが、筆者なりに説明すると以下の通りです。
- まず、何を解決したいか(課題)をはっきりさせます。
- 次に、現状と理想の姿を比較しながら、時間と空間をイメージし、キーワードを抽出します。
- キーワードは、TRIZにもある発想の中から、取る、消す、まとめる、増やす、分ける、置き換える・・・などの視点で抽出します。
- キーワードをもとに、モノ・性質・機能の面から、解決策を考えます。
- いろいろ考えだした解決策を組み合わせます。
- 制約条件や優先順位を考慮して、最終的な解決策を導き出します。
なるほどね。少しはわかってきたよ。
これでも、少し難しいかもしれないね。
だけど、発明をする人の頭の中って、どうなっているんだろう?と考えてみると、少しは想像できるかもしれないね。
逆に、発明をする人は別次元の人って事ではなく、
USITの考え方を見れば、自分にもできるかもしれないって思える点が素晴らしいと思うんだ。
そうかぁ、僕にもできるかな?
本には、いろんな事例が紹介されているから、もっと身近に感じられると思うよ。Qちゃんにもきっとできるよ。
なぜ、TRIZ/USITなのか?
当ブログでは、品質について書いていますが、すでに開発されて生産されているものに対する品質管理は後追いで、実は、製品を設計する段階(開発段階)で勝負が決まっているといっても過言ではありません。
つまり、開発設計がいまいちな状態で、生産段階に移った場合、品質異常が発生し大変なことになってしまいます。場合によっては、生産を断念しなくてはいけない場合も出てきます。
逆に、開発設計の段階できっちりと考えられている製品は、生産に移っても安定します。
それがあるので、開発設計の部門は、大きなプレッシャーを受けます。
- アイディアを出しても、生産までのチェックでやり直しになってしまう。
- それでも、開発してアイディアを出し続けないといけない。
- アイディアが枯渇してしまう。
という問題です。
そんなときに、今回のTRIZ/USITの考え方が役立つはずです。
最後に
最後に、個人の活動においても、壁に当たったときに、それを乗り越えるブレイクスルーのためのアイディア抽出作業において、大いに参考になると思います。
皆さんも是非学んで頂きたいと思います。
いかがだったでしょうか?
これからも、皆さまに役立つ情報を記事にしますので、
よろしくお願いします。
タイキ
次の記事も参考になるはずです。
コメント